車載機器過渡電圧サージ試験
(社)自動車技術会が制定した「JASO D001-94」に基づく
過渡的サージに対しての電子機器の耐性を評価する試験です
「 JASO D 001-94」:自動車用電子機器の環境試験方法通則
概要
自動車には数多くの電子機器や電子回路が搭載され、これは自動車を構成する各ユニットの制御、および監視や異常を警告するシステムなどに用いられています。
しかし、これら電子機器や電子回路が使用される環境は工業用や民生用などに比べ、高い電圧や電源雑音、機器から発する電気ノイズなどに曝されており、これらの電子機器や電子回路が誤作動・故障等を起こした場合、安全性に重大な問題を抱えることにつながります。
このため、日本国内では自動車技術会規格(JASO)として、電源線に伝導して発生する過渡電圧や試験方法に関して規定されています。
車載機器過渡電圧サージ試験は、このJASO規格に基づいて過渡電圧サージを発生させ、車載電装品への耐性を評価するための試験です。
想定される脅威
車両に搭載されている他の電気・電子機器から発生する過渡電圧を想定しています。
過渡電圧波形は発生要因ごとに以下のように定義されています。
<A種およびD種:ロードダンプ時に発生する正極性過渡電圧>
エンジンの動作中 (=オルタネータがバッテリを充電している状態)で接続不良、またはバッテリ端子が外れることにより負荷が急減した時に発生します。
<B種およびE種 誘導負荷を遮断した時に発生する負極性過渡電圧>
B-1: | イグニッションスイッチを開いた時にフィールドコイルから発生する負極性過渡電圧 |
B-2: |
フィールドコイル以外の誘導負荷(リレー、ソレノイド)を切った時に発生する負極性過渡電圧 |
E種: | 24V系車両においてバッテリスイッチを開いた時に発生する負極性過渡電圧 |
どんな試験?
機器の電源に対して、過渡電圧を印加し耐性を評価する試験です。
試験器仕様
|
サージ
|
出力電圧(Vp)
|
減衰時定数(τ)
|
並列抵抗
|
直列抵抗
|
DCカット時間
(ts)
|
A-1種
|
100V±10%max
|
200ms±10%
|
2Ω±10%
|
0.8Ω±10%
|
|
A-2種
|
150V±10%max
|
2.5μs±10%
|
0.6Ω±10%
|
0.4Ω±10%
|
|
B-1種
|
-100V±10%max
|
60ms±10%
|
20Ω±10%
|
8Ω±10%
|
300ms
±10%
|
B-2種
|
-320V±10%max
|
2ms±10%
|
60Ω±10%
|
80Ω±10%
|
10ms
±10%
|
D-1種
|
150V±10%max
|
400ms
±10%
|
5.5Ω±10%
|
1.5Ω±10%
|
|
D-2種
|
200V±10%max
|
2.5μs±10%
|
1.2Ω±10%
|
0.9Ω±10%
|
|
E種
|
-400V±10%max
|
26ms±10%
|
13Ω±10%
|
210Ω±10%
|
120ms
±10%
|
項 目
|
仕 様
|
繰り返し周期
|
30s
|
繰り返し回数
|
1〜999999
|
DUT電力容量
|
最大DC50V/10A
|
波形イメージ
|
![]() |
Vp:過渡電圧の最大値 τ:減衰時定数 T:繰り返し周期 Vcc:直流電源 |
![]() |
Vp :過渡電圧の最大値 ts :DCカット時間 |
試験イメージ
|

![]() 半導体デバイス静電気イミュニティ試験 |
![]() 各試験の詳細 |
![]() 高周波接触イミュニティ試験 |